最近よく聞くのが
「〜させていただく」
というもの。

例A:「当店でご提供させていただいております。」 

謙譲の意味で使っているのだけれどどうも引っかかる。
俺は嫌い。
「お〜する」「お〜いたします」
で十分ではないか?
 
例A’:「当店でご提供しています。」 
 

「させる」は元々使役の助動詞。
「させていただく」ということばに注目すると
誰が誰にさせるのか分からなくなってくるから不愉快。
例えばお客から何かを求められるのならば
使役ではなく受身が妥当になるはず。
でも「提供されております」は明らかに変。
それは「れる・られる」にも尊敬の意味があるから。
じゃあお店が主体で客に何かをさせるのか
となると
「提供する」というのはあくまでお店であり
「お客」に「させられ」て「提供する」というのは
なんだか謙譲のようで実はめちゃくちゃ無礼のように聞こえる。
それなのに動作の客体に敬意を払う「いただく」がついているから
主体がものすごくつかみづらくなる。
不快きわまりない。 

それに
もともと「させていただく」は
何かを強制的にしなければならない
もしくは相手に何か負の原因があって
不本意ながらそれをせざるを得ない
という意味で使っていたはず。
 
例B:「自己紹介させていただきます」
例C:「実家に帰らせていただきます」
 
 
ところが一方では
「させる」の命令形は
自分の意志表示と同時に相手の許可を求める形を取る。

例D:「食わせろ。」

だから
「〜させていただく」という表現は
自分の行動意志を相手に認めてもらいたい
という意味が含まれていると考えることもできる。
例Bの「自己紹介させて頂きます」も
自己紹介をしなければならないのだが
自己紹介をすることを周囲の人に許可してもらう意味も含まれる。
だから例Aのような使い方が出てくると考えられる。
 
 
しかし「食わせろ」のように
使役で許可を得ようとするのは少し傲慢にも感じるし
謙譲で十分に相手を立てているわけだから
「〜させていただく」という用法は
どうも謙譲語の使い方のへたくそな人が考え出した
慇懃無礼な言葉のように感じるのだ。
 
 
 
 

 
 

 

コメント

猫またぎ
猫またぎ
2006年2月16日13:10

 確かにそうですね…! 似たようなことを常々思っておりました。
「させていただく」って、何だか、慇懃無礼であると同時に、押し付けがましさをも感じることがあります。濫用されると、耳障りですよね。
「とりあえず丁寧にしておけば、無難だろう」
とでも言わんばかりに聞こえます。(でもその実、相手への敬意は伴わないような感じの…)

 それと、怒らずに読んで下されば幸いなのですが…。
 多重敬語も、私としては気になるところです。
 例えば、
「いたしております」
だと、
「いたす」(「する」の謙譲語)

「おる」(「いる」の謙譲語)
だから、くどいのでは? と思えてしまうのですよ…。
 その辺りは、如何お考えでしょうか。
 違ったらごめんなさい。お教えいただければ、嬉しく思います。

 突然のコメントで、お邪魔しました。

unlimited
unlimited
2006年2月16日13:42

そう。多重敬語は問題です。
今回の例で使ったものはどういうものかというと
存続の意味の「〜ている」を謙譲化したものと考えています。
「提供している」→「ご提供いたしております」

ただ、ご指摘の通り謙譲が重複してますから
ここは「ご提供しています」「ご提供いたしています」が正しいでしょうね。
 

密かに直しちゃおーっと。
 

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