ISBN:4048736035 単行本 池澤 夏樹 角川書店 2005/07/30 ¥1,575
一種のおとぎ話だけれど
でも久々に引き込まれて
久々にちょっと泣きたくなった物語。
物語に出てくる駅の多くが知ってる駅で
物語の情景を自然に思い浮かべてしまう。
森絵都の「カラフル」もそうだったんだけれど
最近の子供を主題にした物語って
現実社会から離れた次元(例えば死後の世界とか)に主人公を設定して
そこから客観的に社会を見てく
そんな手法が多い。
この物語も
キップをなくして「駅」から出られなくなった
という設定で
しかし改札を出ない限りは何をしてもいいし時間さえ止めることもできる
そういう「社会」から切り離された「駅」の中での物語になっている。
現実のなかで泥にまみれていくのではなく
現実とは一線を引いた世界で生きていく主人公。
モラトリアムを物語かすればそうなるのかな。
それはそれでいいとか悪いとかはいわない。
ただ
そうしないと柔らかい物語は成立しないような
そんなどうしようもない絶望感が
作家達の中にあるのかもなあ
とか思ったりした。
現実から切り離すことでやっと子供の子供らしさを表現できる。
でも久しぶりにそういう子供らしさに触れて
すこし自分の気持ちを洗うことができた。
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