夜の11時に
素振りがしたくなったので外に出た。
何回も振っているうちに
何回かに一ふり
いい感じの振りができる。
木刀の重みがしっくりと手になじんで
もしこれが刀ならばスパッときれいに切れるだろうな
という振り。
そのときの握りかた
そのときの振りかぶりかた
そのときの力のいれかた
そのときの振り下ろしかた
そのときの呼吸のしかた
そのときの足の踏み込みかた
そのときの気持ちのもちかた
そういうものを確かめながら
何回も何回も繰り返して
何回も何回もずれていきながら
それでも少しずつ手応えを感じ
そしてすこしずつ理想とする方向へと進んでいく。
これが地理のようにカラダの組織の中に蓄積されて
気づいたときにその動きが自分のものとして身についている。
反復練習とはそういうもの。
珈琲のいれかたもおなじ。
運転のしかたもおなじ。
仕事のしかたもおなじ。
文章の書きかたもおなじ。
毎日毎日おなじ事を繰り返しながら
しかしおなじ風にできることは二度と無い。
その繰り返しや反復の中でこそ
何か一番手応えを感じ
それを本当の自分の力にすることができる。
そういう地道な反復作業が
実はとても好きだったりする。
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